「なに」
「………」
タブレットないとお礼言えないのに…。タブレットに視線を送っていると、また顎を掴まれた。
「口で言え」
「…“ありがとうございます”」
伝わるのかなと、半信半疑で口を動かすと、暁さんは手を離して救急箱を手にとって立ち上がる。
「俺にはそれ、いらないから」
「!」
唇の動きが読めるってこと…?
暁さんは片付けてくると言い残して部屋を出ていってしまう。
暁さんが行ってしまった方向をじっと見ていると、後ろから抱き締められる。
「琴音ちゃん。暁、あんなんだけどいい子だからね。怖がらないでね」
「…」
頭を撫でてくれる奏多さんは、必死に私を怖がらせないようにしてくれている。
奏多さんは、ただ私にここにいてほしいだけなのかな…。


