屋敷に戻ると、問答無用で季龍さんに抱き抱えられ、風呂場に連れてこられた。

浴槽の縁に下ろされ、何をするのかと思えば、その場に膝をついた季龍さんがシャワーを持つ。

「洗うぞ」

「!…………」

自分でできるって伝えようとしても手段がない。どうしようか迷っているうちに、蛇口をひねった季龍さん。

足にかかった水が染みて、唇を噛んだ。

「噛むな。傷がつく」

「…」

頬に手を添えられ、指で唇をなぞられる。

ゾクッとした体に、頬が勝手に高揚する。季龍さんはそんな私を見て笑みをこぼすと、私の足をとって洗い始めた。

痛いのに、恥ずかしくてそれどころではなくなる。じっと我慢していると、タオルで拭かれてまた抱き抱えられてしまう。

季龍さんの肩を叩いて、自分で歩けると口パクでなんとか伝えようとしてもうまく伝わることなく、結局部屋まで運ばれてしまった。