抵抗するように暴れ続けていると、ドアが開いたような音がする。
「どうかしましたか?」
「!」
交番の中から出てきた警察の人だった。
その人の方へ行こうとすると、さっき以上の力で抱き締められる。
「お騒がせしてすみません。さっきケンカして、迷子になっちゃったんですよ。琴音ちゃん、ほら帰ろ?」
違うっケンカなんかしてないっ!
助けてよ!!
警察に目を向けようとしても、顔を押さえられてびくともしない。
奏多さんの体を叩いても、腕の力が全然抜けない。
「はいはい。俺も悪かったって。機嫌直して」
ケンカをしてしまったカップルに見せようとする奏多さんの口回しにゾッとする。
このままじゃ、本当に気づいてもらえない。連れ戻されてしまう。
「…くつはどうされたんですか?」
「!」
警察は私が裸足なのを見て眉を潜める。見れば足は傷だらけの泥だらけで、血がにじんでいた。
少し歩いたくらいじゃ、こんなことにはならない。それに、こんな傷を負って歩き回ることは普通しない。
ただケンカしたくらいなら、足を怪我してまで歩き回らず、どこかに座って休憩したりする。
警察官の目が、奏多さんへ鋭く向けられる。


