ここからは見つかったら終わり…。早く行かなきゃ。
周囲には静かな住宅しかない。交番があるようには思えない…。
駅の方に行けばあるかもしれない。なくても、せめて人通りが多い場所に…!
右か左か。全く分からないけど、とにかく動かなきゃ!!
勘だけを信じて右へ進む。まっすぐ進んでいるだけじゃすぐに見つかるような気がして、右や左に曲がりながら、とにかく足を進めた。
「…」
だんだん車通りが多くなってきた。せめて標識があれば…。
全く見たことがない街。…当たり前か。住んでいた街からほとんど離れたことがなかったんだ。分かるわけがない。
道なりに進んで行くと、不意に標識が目に入った。少し早足で進んで標識を見上げると、駅が右の方向にあることがわかる。
その標識に従って交差点を右に曲がり、だんだんと歩くスピードが速くなる。
次第に増えてくる通行人。目立っちゃダメだって思ったけど、自分の格好を見てそれは無理だと考えを振り払う。
白髪に着物。おまけに裸足。
目立たない方がおかしい。


