誰もいない。逃げるか…。
でも、見つかったら…。昨日のあの人たちの様子を見てもただでは済まないことは明白だ。
でも、それでもこのチャンスを逃してしまうくらいなら。
一か八か。捕まったら、もう諦めよう。運がないとはっきりするだけ。
逃げ切れたら、まだ望みはある!
すると、さっきまでぴくりとも動かなかった体が思うように動く。
立ち上がって、こっそり襖を開けても誰もいない。…行かなきゃ。
たしか玄関はあっち…。
頭の中に地図を思い浮かべながら走る。誰かに見つかったら、迷った振りをすればいい。とにかく、外に出るまでは大丈夫だ。
しばらく進むと、大きな玄関にたどり着く。見つからなかったことにホッとしたのと同時に、靴がないことに気づく。
いや、なくなっていたら逃げたとすぐに分かってしまう。
裸足のまま降りて、恐る恐る戸を開いた。
…誰もいない。玄関からまっすぐ伸びた先にあるのは立派な門構え。人の気配がないのを確認して、門構えまでたどり着くと、急いで門を開ける。
鍵はかかっていないみたいだ。1人分通れるスペースだけ開けて、その隙間から滑り込むようにして外に出た。


