奏多さんの言葉が、耳をすり抜けていってしまう。
すごく疲れた。眠ってしまいたい。もう、起きたくない。
ぼんやりする頭は言葉を留めなくて、全然話にならなかった。
奏多さんに手を引っ張られて部屋に戻る。タブレットを渡されても、動けなかった。
「琴音ちゃん、俺にどうしてほしい?今、何を考えてるの?」
「…」
「…琴音ちゃん、お願い、俺を見て。教えて、ね?」
昨日の、注文しなきゃ…。動かなきゃ、やらなきゃ…。
分かってるのに、心が全くついてこない。
座り込んだままでいると、奏多さんはいつの間にかいなくなっていた。
その瞬間、糸がブチッと音を立てて切れる。床に倒れ込んでしまって、起き上がれなくなる。
どうしたんだろう。頭では動かなきゃいけないことはっきり分かってるのに、心が全くついてこない。
体が動くことを拒否して、操り人形の糸が切れたように、動くことができない。