大急ぎで部屋に戻ると、着物を着たお婆さんが待っていてくれていた。
「お待たせしました」
「いいえ。ずいぶん可愛らしいお嬢さんだこと」
「!」
首を振ろうとしたら、奏多さんに座ろうねと肩を掴まれて座らされる。暁さんは部屋に入らない場所で腕組んで立ってた。
呉服屋のお婆さんは、私を見ると何本か布を出す。どれも高そう…。
「これからの時期はこういうのがいいと思うけどね。どうですか?」
「…」
「あ、この子話せないので、ご了承ください。琴音ちゃん、タブレットは俺に見せてね」
奏多さんの言葉に頷くと、早速見せる。
『こんなに高価なものでなくても…』
「若から聞かなかった?使用人は顔だって」
聞いたけど、それとこれは別なんじゃないのかな?こんな着物怖くてあんまり着れないよ…。
「季龍さんの指示が気に食わねぇの?」
「!?」
「暁。琴音ちゃん気にしなくていいから。選べなさそうなら、任せる?」
「…コク」
「よし、すみません。5つくらい見繕ってください。それを買います」
「はい。喜んで。お嬢さん、立ってくれるかい?」
言われるがままに立ち上がると、次々に布を当てられる。お婆さんと奏多さんが話をして、決まったのは結局6着で、お婆さんは楽しそうに笑っていた。


