『……アメリカに留学してもらう。来週に立ちなさい。』
あたしは、勢いよく部屋を飛び出した。
……お兄ちゃんの部屋まで走った。
ドアを開けよ-としたら、話し声が聞こえた。
「忘れ物は無いー?」
母親の声だ。
「無いよ。」
お兄ちゃんの声だ。
「はぁ。あたしも着いて行こ-かしら?」
「いいんじゃない?その方が楽じゃん?」
「そ-よねー。」
「親父は家に居ないんだから、母さんが愛の相手しなきゃいけないんだし。でも、俺と一緒に来れば楽なんじゃない?」
あたしは、言葉を失った。
「そ-よねー。」
「来なよ。愛の世話はメイド達に任せればいい。それに俺も定期的に連絡取るつもりだから。」
「そうなの!?連絡なんて取らなくていいのよ?邪魔になるだけじゃない。」
「大丈夫だよ。しかも、俺が仲良くしておけば、後々役に立つと思うよ?母さんがが言っても聞かない時は、俺が言えば聞くと思うし。」
「そ-ねー。」
「そ-だよ。だから、そんなに心配すんなよ。」
「そ-ね。」
あたしは、ドアノブにかけていた手を引っ込めて、来た道を戻った。
涙を流して。
それから、お兄ちゃんはあたしに会う事なくアメリカに旅立った。
一通の手紙を残して。

