灰色の部屋。

何も無い。前も後ろも分からない、ただの灰色の部屋。
でも、分かる。「自分が死んだこと」は。


…ただ、1つ疑問に思ったから
「貴方は誰?」
と、目の前の女性に私は問いかけた

「フフッ。やっぱり皆同じ反応ね」
皆?…あ、そうか。死んだのは何も私だけじゃないからな。

いや、そうじゃない。私が聞いてるのはお前が誰かということだ。話を逸らすんじゃあない。

私が心の中で愚痴っていると

「あっあ〜っと、ごめんなさいね?
自己紹介が遅れちゃったわ。テヘッ」

おいおいぶりっ子かよ。死んでもぶりっ子を見ることになるなんて…。どんだけぶりっ子に運が無いんだ私は…。

「あ、今このぶりっ子って思っただろ。」

ギクッ
まぁ、ちょっと反応しとけば喋らなくても大丈夫だろう。こういうタイプは勝手に話が進んでいくだろうし。

「まぁ、いいわ。」

ほら来た。自己紹介はよ!

「私は、うーん。何かな?簡単に言えば…死神?…かしら。いいえ、別に地獄に送る訳じゃあないわ。」

ほう、死神ねぇ…。

「きっと、貴方のような人達は死神を、黒のおぞましい格好で、おっきな鎌を持ってる奴…って思ってない?」

あぁ、確かに黒い服に大きな鎌のイメージかな…あくまで私のイメージだけど。

「違うのよねぇ、ほら、意外と普通の服に、なぁ〜んにも持ってないわ」

本当に持ってない。
「じゃあ貴方は何をするんだ?」
と、問いかけた。

「ん?えっとねぇ…4択のうち、1つを選べる、少し変わった仕事かしら。」