「佐伯くん?だよね?」


だったらなんだ。とでもいうような目でこっちをみている。



気まずい雰囲気にとまどいながらも

「隣に座っていい?」ときくと「ん。」と曖昧な感じの返事が返ってきた。






ベンチに座ると正面にはこの街が一望できた。









こんなにこの街は狭いのか。

お母さんとお父さんのいる病院も見える。
妹の通っている中学校も見える。


家も、学校も、こんなに近くにあるものなのかと思い知る。




私の頬に涙がこぼれた。