爽ちゃんは、ずっと強さや弱さを気にしていた。
でもそれって「そんなに必要な事なのかな。」と俺は思う。
だって、俺達は百獣の王でも無ければ果物を育てる枝さえ無い人間だ。だけど、人間って生物には知恵と学がある。それを使って人と関わり成長していく事は人間にしかできない。そして、成長していく過程で育つのが強さであり、弱さだろ。
弱ければ誰かと泣けば良い。
強ければ誰かを支えれば良い。
弱くなりたいなら誰かを頼れば良い。
強くなりたいなら誰かに甘えれば良い。
人間は一人で生きていけない。何をするにも他者と関わらなければいけない。そんな人間だから、誰かがそばにいて、誰かを求める事が出来るんだ。
弱くなるにも強くなるにも、一人じゃ絶対無理なんだから。
俺はそう親友に教わって、それを好きな人へ実行する。
ーーーそうやって俺は、強くなっていきたい。
「はあ…やっと見つけた。」
「おお、天。追い付いたのか。」
「よお暮人。千秋が走っていくからどこに行ったかと思えば…お前らの所だったんだな。」
「あーやってずっと抱き締めあって泣いてるよ、二人で。」
「ずっと?何してんだあいつら。」
「はは、良いじゃん。それだけ好きなんだよ。」
「お前は良いのか、彼女とられてっけど。」
「今だけ千秋ちゃんに貸すって決めてるから。今後は周りを気にせず爽ちゃん独占するけどね。」
「ヘタレ野郎が何言ってるんだか。」
「ばーか。ネガティブちゃんが成長したんだ、ヘタレ野郎も成長するんだよ。」
「…良かったな、暮人。」
「おう。」
抱き合いながら泣き叫ぶ彼女達、それを見ながら安心したように微笑む天。
「あ、飛行機雲。」
ドタバタと過ぎていった数ヵ月は二つの季節を跨いで、四人で秋を迎えようとしていた。
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