二人の後を追って数十分。
この広い校舎の中で、何処にいったかも分からない二人を探すのは無謀だと思った私は、教室に戻った。

(教室に戻って千秋ちゃんの帰りを待とう。)

友達じゃない私が聞いて、話してくれるか何て分からない。そうは思っていても、少しずつ千秋ちゃんへ開いた心は、震えながらに期待していた。

ーーーきっと話してくれる。と。

教室へ戻れば出て行った二人を追いかけて行った子達も既(すで)に戻っていて、何事も無かったかの様に進められている話し合いに、少しばかり苦笑が漏れた。

誰が居なくても、誰が悲しんでいても、学校と言う組織は少しずつ幸せな方へ動いていく。

それが、少数派の為の幸せだろうとも。

強い者さえ組織にいれば成り立ってしまう世の中では、あとの弱者は駒(こま)のように捨てられても文句は言えない。だから媚(こ)びへつらって強者にゴマをするのだ。強者に嫌われなければ、この学校(檻(おり))の中でも自由に生きていけるのだから。

(なんて滑稽(こっけい)なんだろう。)

こんな小さな世界で身につけた生き方でしか、檻の中で自由を得ることはできない。そんな生きざまを成長と呼ぶなら、大人になると言うのはなんて馬鹿馬鹿しい行為なんだろうね。

席について、また机に俯(うつぶ)せる。

ネガティブの無限ループに陥った脳みそをリセットするために、暖かい日差しに身を委ねて、静かに目を閉じた。




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