短いスカートに、肌の色が透けて見えるタイツ。元々綺麗な顔に施したハデ目な化粧が色っぽい。

(よくこんな可愛い子を間近で見られたな、俺。)

DIMEを交換した日、抱き締めたり顔を近づけたり、嬉しさのあまり気にしていなかったが、今では直視出来ない可愛さに顔が火照ってくる。

「ありがとう、暮くん。あとお友達さん。助かりました。」

「いえいえ。噂の風深爽さんのお役に立てるなら嬉しい限りですよ。」

「ふふ、ありがとう。面白い人だね、えっと…。」

「蒼野天だよ、宜しく。」

「私、風深爽。こちらこそ宜しくね。」

勝手に進む話に一つも入れず、爽ちゃんは友達が待っているからと教室へ走っていった。ヒラヒラと舞うスカートが、見えそうで見えない極限の領域の様に思えてまた頬を緩めた。

「また回想が変態みたいになってるぞ。」

「……今日も可愛かった…。」

「お前の頭の中ってほんっと平和だよな。」

「どー言う意味だよ…。」

「頭良いくせに鈍いよな、お前。」

「喧嘩売られたことは分かったぞ?ん?買うか?」

「まあ落ち着けって。いいか?あんな可愛い子が、今まで彼氏一人も居なかったなんて可笑しいだろ。多分、噂でクールな子とか、無表情とか、一匹狼だとか、さっきの彼女の雰囲気とは全然違うものが流れてるから、男共も手を出せないんだ。だけど、本来の彼女を知ったら?人気も増えるわ、ライバル増えるわ…お前大変になるんじゃね?」

「俺は面白いから良いけど。」と、そこまでの考えに至らなかった俺は、天の嫌味を聞き逃すほどにフリーズした。

彼女が噂とは違うって知ってるのは俺だけ、その余裕が、もしかしたらな展開を生むかもしれないと思うと、火照った頬は一気に青ざめた。

「俺めっちゃやべーじゃん。」

「お、やっと自覚したか。」

現に彼女が居た時は凄い数の男共が俺達をチラチラと見ていた。それこそこっちの様子を伺うように。それに気づいていながら彼女の可愛さに心を奪われて、他の奴等が彼女を追って階段を登る後ろ姿を眺めていた。

(この行動の遅さ…まじでヤバイかもしれない。)

「ど、どうしたらいい…?」

「取り敢えず、教室行かね?」

未だにフリーズを続ける俺を、天は置いてそそくさと教室へいってしまった。



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