弥生に叩かれた頬が熱い…
私はもう、心がボロボロになりすぎていた。
綾己を思いながら生きて、憂臣の愛を裏切り、糸が切れたようになった。
今はただ、綾己を思っていないと立って生きていけない。
でも、弥生の気持ちは嬉しい…
だから涙が出てしまう。
「 ありがとう弥生… ごめんね…
綾己は私のすべてだった。亡くなってからも今もずっと…
私の中に綾己がいるの。
わからないよね…
憂臣に報いを受けさせるために悲しみを閉じ込めてきた…
綾己が、好きだった。大好きだったの…
この手の中で綾己が消えていったの… いくら呼んでも返事してくれないし、鼓動が消えて…
許せなかった、憂臣を許せなかった!!
弥生、私は もう ダメ… ごめんね 」
「 なにがダメ? わかんないっ… そんなの わかるわけないし、わかりたくないっ もう いいでしょ?
里桜、倖村先生は絶対に悲しんでる、今の里桜に悲しんでる!
あんたの気持ちはきっと里桜自身にしかわからない、でも3年よ… あれから3年、憂臣くんは今も 里桜を思ってるんだからっ!」
なに…
何、言ってるの?
私には綾己だけよっ
「 綾己だって!!私を思ってる!」
「 里桜、聞いて、憂臣くん 里桜が倖村先生の恋人だって知ってたんだよ?」
え…
今、なんて!?
「 弥生? 何言って… 」
「 憂臣くん、事故のあと探したんだって…
里桜を、探して転校してきたの、償いたくて。でも里桜に償いと同時に好きになっちゃったんだよ… だから 里桜と同じくらい苦しんでたんだよ?」
そんな… そんなこと……
知ってたなんて 嘘っ!!
「 嘘っ!信じない… そんなことあるわけない 」
「 里桜っ!!」
私は弥生の言っていることが信じられず走り去った。
憂臣が私を綾己の恋人だと知った上で今までそばにいた?
私の心に綾己がいると知った上でプロポーズまで…
それなのに、私を愛してると言ったの?
綾己っ…
私はあなたをずっと思ってる…
なのに、今、私の心に憂臣といた時間が溢れてくる。
憂臣の笑顔が、私を愛してると言った憂臣が心にたくさん溢れてくる。
墓地から離れ走り疲れる私は涙で前が見えなくなっていた。
「 里桜っ 危ないっ!!」
弥生の声が聞こえた気がした。
息が切れて立ち尽くしている私には涙で滲んで何かが私に向かってくるのが見えない。
「 綾己… ごめんね… 」
目を閉じた瞬間、私の意識が限界を迎えフラりとした時だった。
「 里桜っー… 」
体に強い衝撃と共に地面に倒れ転がった。



