ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…


神聖な教会…

私の叫ぶ告白が憂臣の耳にこだまする。




「 里桜… あの時… 」

「 そうよ?あの日… 私は綾己と待ち合わせしてた。
でも、あの事故が、私と綾己を引き裂いて…
私から綾己を奪った!!
綾己は私の前で… 今も鮮明に、覚えてる…
憂臣、あなたが自分で告白したのよっ、憂臣が事故の相手だって!私はずっと探してたっ 」

「 里桜… 」




憂臣は 私に一歩、二歩とゆっくり近づく。

その顔には悲しみが見える。


私が与えた裏切りの悲しみ…



「 里桜、聞いてくれ 」

「 何を?今さら何を? 私はずっと綾己だけを思ってきた… 憂臣に報いを受けさせるために この日をどれだけ待ちわびたか…
返して?私の綾己を、私に返して 」




涙が怒りと共に溢れる。

ブラックドレスは私のすべての気持ちを表している。




「 綾己を… 綾己を返してぇーっ!!」




私は憂臣からもらったダイヤの指輪を投げつけた。

泣き叫びは教会中に響いた。




「 里桜… ごめん、ほんとにごめん… 」

「 許さないっ!あの日からどれだけ苦しんだか… 絶対に許さないっ 」




息を震えながら大きく吐いて、私は憂臣を睨み見て、無表情な笑みを見せて言った。




「 さよなら、憂臣… 」



もう、あなたとは会わない…