翌日、天気予報では晴れのはずだったが曇っていた。
部屋のカーテンを開けて見上げる空を雲が隠そうとしてる。
私は身を清めるつもりでシャワーを浴びた。
綾己…
私を見てて。
綾己の形見であるシャツを着て 私は挙式する教会へと向かった。
リハーサルとはいえ、憂臣は本番のつもりで形だけでもとスーツを着てくる。
約束の時間30分前、私は教会の控え室を借りて、自分でこの日のために購入したブラックドレスを着てベールを下ろす。
白い薔薇を一輪手にして 私は憂臣の待つ教会の扉の前に立つ。
綾己…
1時ちょうどに教会の鐘が合図のように私は扉を開けた。
私を緊張しながら待ちわびた憂臣の顔から笑顔が一瞬で消えるほど、私は闇をまとっていた。
「 ………里桜?」
私を確かめるように私の名を呼ぶ憂臣。
私は ゆっくりベールを上げ、目の前に立ち尽くす憂臣をまっすぐ見た。
「 里桜… なのか?」
「 私よ… この日をずっと待ってた。今から6年前、ある事故で私は大切な人を奪われたの… 」
「 6年前? 里桜、なぁ… 」
「 彼の名前は、倖村 綾己… 私の恋人だった! あなたが友達と事故を起こして亡くなった人はっ… 私の綾己よ!!」
教会内に響く嘆きの叫び…
憂臣は私の告白に顔が強ばった。



