ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…


私は今ある場所で、大きな扉の前にいる。

そして目を閉じ、振り返る…




式の数日前のこと、弥生から来るようにと呼び出されていた私。

何も聞かされず呼ばれたため、理由が知りたくて弥生にしつこく何があるのか聞いたところ、サプライズパーティだと言われた。

挙式は教会でするが、その前に婚前祝いをしようと友人達が集められた。

その場所はオープンテラスが広い庭になっており、薔薇のアーチがある広いカフェを貸しきった店だった。


私の闇にも、小さな光がある。

それは、友達は関係ないということ。

何も知らない友達を巻き込むわけにはいかないが、私の闇は深い。


せめて、挙式よりもずっと前ならと 小さな光がほころんだ。


でも、私は用意された従業員用の部屋で 大きな白い箱を前にしていると、弥生がドアの向こうから私を呼んだ。




「 里桜?準備いい?」




弥生……

私、弥生も裏切るんだよね…

ほんとにいいの?



この箱にある物は憂臣を裏切るために用意した物。

コツコツ貯金して、やっと手に入れた憂臣への贈り物。




「 ねぇ 里桜、私すごく嬉しいよ!里桜が憂臣くんと結婚するんだもん… 親友として鼻が高いし、自慢の夫婦だよ!」




弥生っ…


ダメ、負けちゃダメ!

私は 決心したじゃないっ



ダメよ……