過去が私の意識をドアの向こうに集中させていた。

あの頃の記憶………

ずっと、探しているものが見つからない……



高3になった私は、綾己を亡くした悲しみを闇に預け平常心を心がけていた。

春休みが明けた始業式で校長先生により一人の担任の死が報告され、全校生徒が共に黙祷を捧げた。


それから一ヶ月… 私はある人から告白された。


彼は藍沢 憂臣。


時期外れにも関わらず転校生として私のいるクラスに現れた。

噂では悪で留年しているとか…

クラス委員の私は担任から校内案内と、慣れるまでのサポートを影ながらしてほしいと言われた。

それもあって私は憂臣と話すようになった。

はっきり言って私からは必要最低限話さない。

今さら転校生に興味を示す生徒はいないだろうと思っていた。

受験は密かにみんなを誘発し、遊びから遠ざける。

でも、憂臣は初日から人気者となっていた。

なぜなら憂臣が容姿端麗で、人懐っこく おおらかな性格でいたから。

反対に私は クラス委員を押し付けられるほど、地味な存在。

黒渕鼈甲の眼鏡に長めの黒髪を流している。

本来の私は意外と性格は暗い方ではなく普通だと思う。

そんな私をなぜか憂臣は気に入ったと言った。

見た感じ、二人並んでも絵にはならない。

でも、私は抱えた闇を隠すため 憂臣と付き合う事にした。

別に、好きなんて気持ちはない。


学校の放課時間、私は憂臣に呼ばれた。



「 奥瀬!」

「 …藍沢くん、どうしたの?」

「 どうしたの?じゃなくて、帰り一緒に帰ろ 」

「 いいけど… じゃあ、ちょっと トイレ行ってくるから 」



私は憂臣を置いてトイレに行った。