ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…


憂臣は私を引っ張り小走りしながら 一階渡り廊下まで来た。



「 藍沢くんっ、どうしたのっ 」

「 あの二人が離れないからさ、隙見て逃げた 」



私は関係ないと思うけど…



「 玲羅さんは藍沢くんが好きだからだよ? わかってるでしょ?」

「 …それ、彼女が言うセリフじゃないよな? 」



そう言われても、私には彼女としている自覚なんてないから。

憂臣の目が私を捕らえる。

その目には不安が見えているようだった。




「 さっき話してた奴… 誰?」



さっき? ああ、耀くんのこと…



「 弥生の彼氏、耀くん。隣のクラスだけど、今ケンカ中で話聞いてたの 」

「 なんだ、そっか… 」



あからさまにホッとする憂臣はヤキモチ妬いていた。



「 里桜… 俺の事、名前で呼んでくんない?憂臣って 」



え…… 名前で呼ぶの?

彼女として?



言われたら嫌とは言えない…




「 いいよ 」

「 じゃ、言ってみて 」



ほんとは…



「 …憂臣 」



呼びたくない……