ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…


憂臣からの返事はなかった。

それよりも 私の頭の中も気持ちも綾己でいっぱいだった。

綾己の母親からの電話があってから 時間が早く過ぎないかとそればかり。

授業より早く帰りたかった。

早退も考えたが、休み時間になると弥生や憂臣が私のそばに来る。

昼休みは弥生が耀から逃げるため 私が耀の相手をし話を聞いてあげていた。

憂臣は玲羅と、玲羅が一番よく一緒にいる友達、藤倉 叶恵 (かなえ) に捕まっている。



「 なぁ 奥瀬、弥生何とかしてくれ 」

「 ん~ 弥生は意地になってるだけだと思うよ?許すタイミングないだけじゃないかな 」

「 そうかな… 弥生、怒ると長いんだよなぁ 」



それは… うん、納得。

私もそう思うよ。



「 耀くんは 弥生が好きだよね、見ててわかるよ 」



二人が二人でいる事がうらやましいよ…



耀は また弥生に謝ると言って自分の教室に戻っていった。

私は一息ついて、席を離れようとして手を掴まれた。




「 里桜!」

「 えっ!?ちょ… 藍沢くん?」



憂臣が玲羅と叶恵から離れ、私を教室から連れ出した。



なに、なんなの!!