吐く息が不快な匂いをしている国語の禿げた先生にノートを提出するために職員室に入る。

「東山先生」

「……ん?あぁ、雨宮さん。国語のノートかい?ありがとう」

パソコンに向かっていた、国語科の東山が笑顔とともに吐き出した息に吐き気を催して一歩後ずさる。

「いえ……では、ここで」

東山のオフィスデスクに積み重ねたノートを置いて逃げるように職員室から出る。

「あ、雨宮さん。今日は具合、大丈夫かしら」

職員室を出てすぐの生徒玄関を通りかかった保険医の先生が肉付きの良い頬を持ち上げて笑った。

「はい。大丈夫です」

「あらそう。なら良かったわ」

ふふふっ、と化け物じみるしゃがれた声で笑うと白衣をひるがえして歩いていく。

私は体が弱く、保健室に通うことが多いが無駄にお節介でうざったいあの先生も

国語のセクハラ行為に走る禿げた東山も

ノートを出すのを押し付けてきた低俗な話し方をするあのクラスメイトも

ぜんぶぜんぶ大嫌いだ。