「もちろん、学会に提出しますよね?」
威圧とか制圧とかそんな言葉が似合いそうな目。
「今、学会は大会議中だから終わってから申請しようと思ってる」
すらすらと嘘が流れ出てきた。
そうだ今大会議中だった、助かった。
大会議中だと、本部と連絡が取れないのだ。
不幸中の幸いに、安堵のため息をそっとつく。
「そうですね、大会議中は止めておきましょう……でも、その後すぐ渡すんですよ、わかってますよね?」
「う……」
後輩なのに本当、立場が逆みたい。
「南川、あんた研究長に向かって何言ってんの?」
美千ちゃんがたまたま通りかかって制止してくれる。
「お前もお前だ、とにかくよろしくお願いします」
にこりとも笑わずに去っていく南川君に
美千ちゃんが溜め息。
「いけ好かないやつ……」
「いいのいいの、気にしないで」
二人が去ったところで、手帳を確認する。
大会議は、あと4日続く。
たかが4日、されど4日。
ジュテのこと、助けて見せる。
そう意気込んで、私は第3棟に向かった。