「あかね? あかねが笑ってれば僕は嬉しい」
彼の言葉。
大抵は、笑ってないと悲しいというはず。
やっぱり、彼は……
嬉しいという感情しか持ち合わせてないのだ。
「ねぇ、ジュテ」
「なあに?」
何て言えばいいだろう。
彼を、私は守りたい。
「私のこと、助けてくれない?」
「……いいよ」
15、6歳の端正な顔立ちが、
5、6歳のあどけなさを引き連れて。
あなたが、高い知能を持っていなくて良かったと思った。
持っていれば、もう少し面倒だったに違いない。
「私の、この部屋から出ないでほしいの」
あなたを守っていくためには、
それしかないんだと思う。
「分かった」
首を縦にふる彼に付け加える。
「私がオーケー出したら大丈夫だよ」
彼に、感情開発を手伝ってもらう。
それが終わったら、終わらせたら
彼を学会に送るから。
自分に言い訳をついて、
私は彼の手を握った。
「誰にも見つからないように、夜に行きたいところがあるの」


