あだ名、とかそういう言葉が分かって使えるってことは




ソフトが入ってるはずなんだけど。





「あかねぇ、痛いよー」






「ごめん、もうちょっとだけ」






学習ソフトらしきものはない。
彼の頭の所に、特殊な電波を当てながら
何も反応がないことにため息をつく。







だって……
そうなると、あり得ないけど何らかの原因で
彼が自分で学習してしまったことになる。






そうなると、   
ロボットの学会に彼を提出しなきゃならなくなるし、
未知の恐怖に人間は震えなきゃならない。








ロボット製造停止となると、
この国の損失は著しく上がる。








そう、だから、だからー。








私は今から天秤にかける。   








ジュテを手放して研究会に送り、
事実を赤裸々にしてしまうか、










このまま自分が彼を匿い、
事実を隠蔽するか。








しなきゃいけないことなんてとっくに分かっていた。









今すぐにでも学会に連絡して
彼を引き渡す。









でも……





「そんなこと……出来ないよ」








目の前であどけなく笑う彼が。
彼が初めてなのだ。
自分で感情を手に入れた、初めてのロボットなのだ。







だから、彼が万が一壊されることになってしまえば
永遠の別れだ。








彼のこと、誰にも渡したくない……