「赤信号」

「え?」

振り返ると、ギュンギュン目の前を横切る車列が見えた。
うわ、はははは恥ずかしいっ。

「あ、あり……がと」

「いえいえ、どういたしまして」

拓巳に見とれて赤信号……
女子高生か!
自分で突っ込んで、かなり落ち込むわ。う。


……あれ?
一向にゆるまる気配のない腕に、わたしは「ん?」って首を傾げた。

「拓巳……あの、もう大丈夫なんだけど?」
早く離れてくれないかな、見られてるから。周りの女子に、思いっきり。

すると、ひっそりと拓巳が身をかがめる気配。
「オレ、抱かれ心地いいっしょ?」

「はぁっ?」

「ベッドの上でも試してみる?」

「べっ……あのねっ!!」
焦って飛び退くと、拓巳は体を二つ折りにして大爆笑している。

「ははははははは……ほんっとマジで奈央さん、大好き」