拓巳、だったよね? 確かに。
奈央さん、て呼んだし。
どう見ても、あれはホストとお客って雰囲気だった。
つまり……拓巳がホスト?
働いてるわけ?

なんで??

クエスチョンマークが、ぐるぐると頭の中を光速で飛び回ってる。

窓ガラスにこつん、額をくっつけると、ひんやり外の冷気が染みて。すぅっと熱を冷ましていく。

窓の向こうに流れるのは、華やかな高層ビルの明かり。そして寄り添って歩く恋人たちの姿。そんな華やいだ雰囲気とは裏腹に、わたしの心は固く凍り付くばかりだ。

なるほど、毎日の定時あがりは、そういうわけか。


ああ、やっぱりね。
唇から、苦いつぶやきがこぼれ落ちた。