Mysterious Lover


あぁわたしは、拓巳が好きなんだ。
こんなにも、好きなんだ。

やっとたどりついたその答えが、心が震えるほどうれしくて。


「奈央さん……愛してるよ。愛してる」

熱にうかされたようなささやきが、甘く耳に触れる。
額に、瞼に、頬に、彼の唇が熱く押し付けられ。
やがてその唇は、わたしの唇へとたどり着いて——。


え?
わたしはいくつもの視線を感じて、ぱちっと目を開けた。

「た、拓巳。ちょっと……待って」
そうだ、ここ、思いっきり空港ロビーだ!
わたしは焦りまくってしまい、拓巳から離れようともがいた。

「あの、みんな見てるから! ね! 見てるから!」

拓巳は呆れたようにわたしを見下ろして、はぁって大きなため息をつく。
「奈央さん、なんで今ここで一気に現実戻るかな。そこは気づかないふりして目閉じとくとこでしょ?」

「や、そう、だけど……」

う……そこはその、日本人の性というか。

わたしがうつむいた、その時。