Mysterious Lover


すると拓巳は形のいい手で顔を覆い、下を向いた。
「奈央さん、すっげぇうれしいんだけど……その、そういう言い方されるとさ、なんか……期待しちゃうから……」

「……うん」

うなずくと、「え」って、拓巳が手をはずして、わたしを凝視した。
言葉を探すように、視線をさまよわせて。そして再び、その目を戻す。

「……何言ってるか、わかってる?」

「うん」

「期待して……いいって、こと……?」

「……うん。いい、よ……ひゃっ……!」

言葉尻、最後まで言う間もなく、拓巳の腕がわたしをきつく抱き込んだ。


「奈央さん……奈央さん……」

何度も、何度も、拓巳がわたしの名前を呼ぶ。
確かめるように、愛撫するように、繰り返し、わたしの名前を呼ぶ。

かすかに震える肩が、押し付けられる頬が、たまらなくいとおしくて、
わたしもギュッと、両腕で拓巳の背を抱いた。