「イブねえ」

「そうだね」

「イブよねえ」

「うん」

「イブかあ」

「ねえ、さっきからうるさいよ?」

わたしは左隣を軽くにらむ。
ちっとも集中できやしない。

「だってさ、せっかく奇跡のような土曜日イブなのに!! なんで会社で仕事なの!! あたしたちっ!」

「去年も、同じこと言って仕事してたよね」

「去年はね、平日だったからまだ許せた。でも今年は土曜だよっ! 土曜っ! しかも昨日と合わせて奇跡の3連休クリスマス! なのになんで会社に缶詰になってなきゃいけないのよおお」

「校了しなきゃ年越しできないんだから、仕方ないじゃない」

「だったら、営業も総務も、一緒にがんばればいいのにっ勝手に休みやがってあいつら!」