「ふぅん?」
信じてない、って顔のまま、工藤さんは少し笑った。
「それより、どうだ、久しぶりに一緒に飯でも?」

「え? や……あの、わたし」

工藤さんとは、結局別れ話もできてないし。今日はなんか気持ちがぐちゃぐちゃだし。
こんな状態で2人きりとか、ちょっとつらい……。
だからすぐに断ろうと思ったんだけど。

でも……って思い直した。

これって。
落ち込んでるわたしを気遣って誘ってくれた……んだよね。きっと。


——そろそろふっきっとかないと、ミスって連鎖するからさ。

矢倉さんの言葉がよみがえる。
そうだ。ほんとに、ふっきらなきゃ。

このままじゃわたし、ほんとにダメになる。

拓巳に捕らわれたまま、どこにも行けなくなる。
そんな予感に、ぞっとする。

工藤さんと話して……なにかきっかけつかめるかも。


わたしは顔をあげた。
「はい、喜んで」