そういうと、工藤さんは呆れたように苦笑した。
「今何時だと思ってるんだ?」

わたしは自分の腕時計を見る。7時半をまわったところだ。
まだそんなに遅くない時間よね?

でも。
「スタジオの営業時間はとっくにすぎてる。今日はもう無理だ」

「あ……」

バシャって、水をかぶったみたいなショックだった。
だめだ、完璧、冷静さを欠いてる……。

工藤さんが立ち上がり、デスクを回ってわたしの前へ立った。
わたしの頭にポンと手を乗せて、そのまま工藤さんはわたしの顔を覗き込んだ。
「失敗なんて誰でもするさ。大事なのは、それをどうフォローしていくか、だろ?」

「すみません……なんか、集中できてなくて……」

工藤さんの表情が、動いた。
「……気になるか? 亀井の処分」

「え……い、いえっ! 彼は全然関係なくて!」