「うん、同じもの2個あっても重いから。撮影にもっていくのは1個で十分」
「あ、じゃああたしが宅急便さん倉庫まで案内しますよ」
「あ、大丈夫よ。それくらいわたし……」
「沢木さんは、亀井さん追いかけた方がいいんじゃないですか?」
「え?」
「ホストなんて、きっと何か理由があるんですよ」
にこっと加藤ちゃんが笑う。
あ……あぁ。
みんな、誤解したままなんだ。わたしと拓巳のこと。
「じゃ、倉庫行きますね」
って、宅急便屋さんと遠ざかっていく。
その姿を見送りながら、わたしは「違うんだけどな」ってため息をついた。
追いかける……わけないじゃない。
もう……関わりたくない。考えたくない。
考えない。あいつのことなんか。
しっかり……しっかりしなさい、奈央。
わたしには、仕事があるんだから。友達だっている。
それでいいじゃない?
でも。もう。
なんか……ちょっと。疲れた、な……。