——ほんの少しでも、オレのこと好きになってくれたなら、言って。好きって。
——オレのことさ、もっと頼って。部長に比べたら、まだまだガキかもしれないけど。それでもオレ……奈央さんのこと、守りたい。

どくんっ……どくんっ……

やだ。
なに考えてんのっ!

ソファに、彼のぬくもりがまだ生々しく残っているような気がして、わたしは飛び起き、キッチンに駆け込んだ。

——んっ! 何、めちゃくちゃうまい、この味噌汁っ! なんか、DNAが喜んでる感じがする。
——奈央さん、『あなた』って言ってみて。
——照れてんの奈央さん、かわいい。


や……何よ、何なのよ!

わたしは部屋の真ん中で立ち尽くしてしまう。

耳をふさいでも、頭をどれだけふっても、あの甘やかな声があとからあとから沸いてくる。


やめてやめてやめて!


もうやめてよ!!