うそ……


うそでしょ?


なんで拓巳がここにいるの?


自分の目の前、その視界、その映像を認めたくなくて、わたしは何度も瞬きをする。
でも、やっぱりそれは、幻じゃなくて。

混乱する自分を必死で落ち着かせようとして。

でも、だめだ。
頭が、全然動かない。

「なんで……?」
かすれた声を、なんとか喉の奥から絞り出した。


「奈央さん、ったく、一人でこんなとこ入ったら危ないって。襲ってくださいって言ってるようなものだろ」


「なんで、拓巳、ここに?」

わたしが重ねて尋ねると、拓巳はごく自然に肩をすくめた。