うそ……
うそでしょ?
なんで拓巳がここにいるの?
自分の目の前、その視界、その映像を認めたくなくて、わたしは何度も瞬きをする。
でも、やっぱりそれは、幻じゃなくて。
混乱する自分を必死で落ち着かせようとして。
でも、だめだ。
頭が、全然動かない。
「なんで……?」
かすれた声を、なんとか喉の奥から絞り出した。
「奈央さん、ったく、一人でこんなとこ入ったら危ないって。襲ってくださいって言ってるようなものだろ」
「なんで、拓巳、ここに?」
わたしが重ねて尋ねると、拓巳はごく自然に肩をすくめた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…