「向こうも気づいてるんだろうね。奈央の話がなんなのかって」
やっぱり……そうかな。
「なぁんかがっかりだなぁ。部長ほどの人でも恋すりゃただの男、ってことだったんだね」
う……。
わたしも、もっとスムーズに話済むかも。って考えてた。
甘かったわ……。
「しっかし……ようやく奈央も」
うひひひって、翠がまたお得意の悪代官めいた笑みを作る。
「日曜日、デートなんだって?」
「な、なんで知ってんの?」
「カメちゃんが大喜びで『聞いて聞いて』ってさ。ほんと、あのキャラ、あたし好きだわ」
「はあ」
「いっそのこと、あいつと同棲でもしちゃえば?」
「はあっ!?」
「ストーカー対策にもなるし。引っ越しなんて、絶好のタイミングじゃん。日曜日、それとなく提案してみなよ」