「で、デート?」
甘い響きに、思わず心が揺れてしまったけれど。
でも、慌てて首を振る。

「……ダメよ。ストーカーのこと忘れたの? 何されるか……」

「オレが、何もさせない。絶対、守るから」
誘惑する眼差しのあまりの近さに。
あっという間に、さっき中途半端に放り出された体の奥の熱が呼応しそうになってしまう。

ほ、ほんとに……これは、マズイ。
社内なのに。他のみんなもいるのに……

くらくらしはじめた頭を振って、わたしは「わかったわよ!」って叫ぶ。

「でででも、土曜日はダメよ。週明け提出の原稿、仕上げなくちゃいけないからっ」

「じゃ、日曜日?」

「日曜日も……午前中に部屋の内見あるんだけど」

「あぁ、新しい部屋の?」

「そう、もう3件、予約入れちゃってあって……」

「じゃあさ、それ、オレも一緒に行く。で、見終わったら、デートしよ」

はぁああ……
深く深くため息をついて。とうとうわたしは折れた。
「わかった」