「んっ……」

目を開けると、カーテンの隙間から光が見えた。

んんんっ!
ベッドの中で伸びをしていると。

昨夜の出来事が、フラッシュバックする。

泣いて泣いて……その後。
そのまま眠ってしまったわたしを、また拓巳がベッドに運んでくれたみたい。


台風一過の青空みたいに、なんだか体の中が澄んでいるような。

拓巳の……おかげかな。

体を起こすと、ソファの上、毛布にくるまって眠る拓巳が見えた。

目を覚ますと、1人じゃない。
それって、こんなにも心地よかったっけ?

そっとベッドから抜け出して、ソファへにじり寄る。

やっぱりきれいだな。
長いまつげが、無防備に眠るその頬に影を落として、少し幼く見せてる。

顔を見てるだけなのに。なんだか胸の奥が温かくなって、甘いうずきが走る。

指の先、細胞の1つ1つまで、柔らかいもので満ちてるみたいなこの気持ち……なんて表現すればいいんだろう。
いつまでも、見つめていたいと思ってしまう、このくすぐったいような、温かな気持ちは。