すると、彼、途端に露骨に顔をしかめる。

え? わたし何か変なこと言った?
お店でも「拓巳」を名乗ってることは、外の写真で確認したし。
わかるはずだけど……。

「お姉さんもあいつ狙いなのかぁ」
色白くんは「はぁ」って肩を落として。

ちぇって舌打ちしてから、「ちょっと待っててね」って奥へ行ってしまう。

ふうぅ。
勢いでここまできちゃったけど……やっぱりやめた方がよかったかも。
拓巳に迷惑かけちゃうかな……。

そんなことを考えていたら。

「ねえ、お姉さん、拓巳とどういう関係?」

長めの金髪を後ろにぴったりなでつけたマッチョなホストが、わたしの隣に無理やり座ってきた。

「ど……どうって」

「ホストクラブに来るような子には見えないんだよねぇ」

上から下まで、じろって値踏みするように凝視されて、わたしは小さく縮こまる。
そりゃ、確かに場違いな格好っていうことはわかってるけどっ!

「もしかして、お姉さんが例の“本命”なのかなあ」

……え?