う。わ〜………

視界が突然開けて、その向こうのフロアを見渡したわたしは、思わず目をパチパチ。


そこは——別世界だった。


冷たくきらめく青や紫の照明の下、静かにミラーボールが瞬いてる。
いたるところに大小の水槽が設置されていて……

ゴポン……ゴポゴポ……

絶え間なく吐き出される水泡を断つように、何種類もの魚やクラゲがひらりひらりと舞い泳いでる。
それはまるで、水族館に迷い込んだみたいな光景だった。

客席はすべてボックス席。
カーブを描いた間仕切りを使って、お客の顔が見づらい角度に設計されてるみたいで。だからわかりにくいけど。
でも、チラチラ見え隠れする姿を見る限り、かなりハイソなお客がそろってるみたい。
ドレスのシルエットが、きらめくジュエリーが、ちらりとのぞく白い素肌が、彼女たちのリッチぶりを表してる。

う。
ごく普通のOLコンサバファッション、かなり浮いてる……。

帰ろうかな……

「こちらへどうぞ」

考えてる間に、ぐるぐる店内を連れ歩かれ、隅の席に案内されてしまったわたし。
思い切って色白くんの袖をつかみ、「拓巳……くん、ている?」って、聞いてみた。