——オレのことさ、もっと頼って。部長に比べたら、まだまだガキかもしれないけど。それでもオレ……奈央さんのこと、守りたい。


拓巳の顔だった。


どうしよう……

ほんとに、頼っても……いいのかな。

自分でなんとかしたいけど、でももう巻き込んじゃってるし。
話さなかったら、きっと後でめちゃくちゃ怒るし……

自分で自分に言い訳しながら、わたしは拓巳の番号をおそるおそるスマホ画面で呼び出した。


『おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか……』


そうだよね。今はバイト中か……。

周囲を見渡すと、まだ数名、営業のブースにも残業してる社員の姿が見える。

もしかしたら、彼らのうちの誰かが……ストーカーってことも?


そう考えてしまったら、もう一瞬だってそこにいたくなくて、わたしは会社を後にすると、タクシーに飛び乗っていた。


「六本木までお願いします」