ゆっくり近づくデジタルの階数表示を見ながら、わたしはチラッと拓巳を見上げた。
「あの、昨夜は……ありがとう」

「どういたしまして。奈央さんの役にたつなら、いくらでも」
頬をゆるめて笑う拓巳のこと、思わず見とれてしまう。

ナニコレ——

なんでこんなに、ドキドキしてるの。
これじゃまるで、高校生じゃないっ。

わたしは落ち着きなく視線をさまよわせたけど、うるさすぎるその鼓動は静まる気配がまったくない。

「高城さんにはもう話せた?」

「あ……あぁ、うん。今夜から泊めてもらうの」

「そっか、よかった」


その時だった。


ルルルル……


わたしの手の中……スマホが軽い音を響かせた。
メールだ。