でも、ドアの外には、まだあの箱がある。
もう一度あれを見るなんて、絶対嫌だ。
工藤さん……
そうだ、工藤さんに電話して……来てもらえないかな。
でも、先に警察に知らせた方がいい?
それとも工藤さん?
どっちが先? どっちが先がいい?
工藤さんに来てもらって、一緒に警察に行ってもらう?
あぁ、それとも翠に来てもらった方がいいかも……?
思考回路が乱れまくって、まとまらない。
涙にかすんで、視界が曇る。
誰か……誰か助けて……
わたしは膝に顔をうずめて、ひきつりそうになる呼吸を、必死でなだめていた。
リリリリリリ……
ビクッて体が硬直する。
数メートル先、テーブル上に放置されたスマホが、光ってる。
着信だ。
もう……やだ……