「ただいま。」



奏が帰ってきた。



「おかえりなさい。」



あの日からしばらくは気まずかったけど、今は特に変わったことはなく、元通りだ。



慣れ、って怖いと思う。



「真由、俺、明日から急に出張入ったから。」



「本当に急だね。



じゃあ荷物まとめないと。」



私は奏のジャケットとネクタイを受け取りながら話す。



「うん、でもそういう職場だから仕方ないかな。」