俺の名前は、吉田奏(よしだ かなで)。
真由とは幼なじみだ。
家が近所だったこともあり、お互い小さい頃から家族ぐるみでの付き合いがあった。
“二十五歳までに決まった相手がいなければ、子どもたちを結婚させましょう。”
親同士の決めたことだった。
俺も真由も二十五歳。
案の定、俺にも真由にも決まった相手などいない。
「今度挨拶にいらっしゃい。」
期限となった真由の誕生日が過ぎても、俺たちはいつも通り過ごしていた。
そのことにヤキモキしたおばさん(真由のお母さん)は、俺にそんな言葉を言い放ち、俺たちは結婚を考えるようになったのだ。