アイリス



「奏は、なんで私のこと…、やっぱりなんでもない。」



やっぱり言えない。



「なんで、俺が真由のこと好きかって?」



そうだ。



奏はいつだって、私の言いたいことを全部言わなくても分かっててくれた。



それが当たり前で、私は奏の優しさに気づかなかった。



「そんなの分からないよ。



好きだから、好きなんだよ。」



ドライヤーの音に交じって、奏の声が聞こえる。



「なにそれ、意味分からない。」