梅雨の時期。 降りだしそうな空の下で、俺は幼なじみの宮下真由(みやした まゆ)を待っていた。 「奏、ごめん。」 急いできたのか、髪が若干乱れている。 「遅ぇよ。 ま、別にいいけど。 それより、行くか。」 俺は真由の手を引いて進もうとする。 「…本当に、いいの?」 それを止めるように、真由が不安そうな顔をする。