目が覚め時計を見るともう午後2時になっていた。

たくさん寝て汗をかいたせいか、朝よりもいくらかマシになっている気がする。

「おなかすいたな…」

リビングへ行くと
”今日は遅くなるので何かあったら連絡してね”
という母からの書き置きとお粥が置いてあった。

テレビを見ながらお粥を食べていると、玄関からカタンと小さな音がした。

すぐにポストの音だとわかり玄関へ向かった。

田村 沙紀 様

Yより

「Y…?」

薄ピンク色の封筒には力強い字で私の名前と差出人のイニシャルが書かれている。

「誰なんだろう…」

そっと封筒を開けてみると、可愛らしい便箋が一枚入っていた。


【突然こんなお手紙を出して本当に
ごめなさい。驚いたでしょう。

突然ついでにお願いがあります。
僕と文通をしてもらえませんか。

あなたは僕のことを知らないと思うし
何言ってんだこいつと思われるかも
しれません。
でも僕はあなたと文通がしたいのです。
あなたのことが知りたいのです。

こんなことを言っておいてこっそり手紙を
送るようなマネをしてごめんなさい。
本当の僕を知られたらあなたに嫌われて
しまうのではと怖くて…。

迷惑なのは分かってます。
もしよかったらお返事下さい。

PS.お返事は2‐Aの下駄箱、使われていない一番右下に入れてください。】


「文通…?なによこれ…」


下校中の小学生の声

薄ピンクの封筒

花柄の便箋

食べかけのお粥


冷めかけた体温がじりじりと上り
身体が再び微熱を帯びていくのが分かった。