『ゔッ、ゔッ!』

どんどんと溢れてくる涙をシャツの袖で乱暴に拭いた。

―私には、何ももう、残されてない。
 寂しい。
 誰か、私を愛してください。

はぁ。
でもね、ホントは知っているんだ。
親さえに愛されない私は、
誰にも、愛されない。

暗い闇に咲いていた彼岸花は、
1本しか無かったのに………
沢山咲いていた。

1本1本、花を摘んでいく。
それも、沢山。
私はその花を抱きしめた。
パラパラと花が落ちていく。

いらない。
いらない。
私は、もう。
誰もいらない。