「渡邉さーん。算数、教えてあげようかぁ?」

「………………」

私のクラスメイト、笹月天恵(ささづきあまね)が声をかけてきた。

「ごめん。結構です。」

「そ…………」

私は丁重に、なおかつ穏やかに、神経を逆立てる事の無いように断った。

「SK女学園を受ける人があんなの分からなきゃ………『落ちる』わよ。」

『落ちる』わよ。
冷たい言葉だった。