何だろう。
この…寒気立つ様な感覚は。

この店の入口ドアが、冥界への入口にさえ感じる!

とてつもない邪悪な想念が渦巻いている!



「ほら、行くぞ」
「嫌だぁっ!」

拓也に捕まれた腕を振りほどき、俺は近くに立つ電柱にしがみついた!

命の危機感さえ伝わるんだ!



「何が嫌なんだよっ!」
「ダメなんだったらぁっ!」
「キショイ声上げてんじゃねぇよ!」


お前らにはわからないのか?!
この場に流れる、殺気にも似た冷たい空気が!



「マジいい加減にしろよ!何が嫌なんだよ!」
「何か嫌なんだ!そんな予感がするからっ!」
「ホラー映画の霊感少年気取りかよっ!」
「もういいよ、拓也。無理矢理連れて行こうぜ」


雅治が俺の手を電柱から外しにかかったぁ!


「やめろっ!雅治!」
「諦めが悪い奴だ」



二人に両腕を捕まれた俺は、脱走兵の如く店へと引きずられる!



「悪い予感がするからっ!」
「無駄だぞ?俺と雅治は、科学的に証明されないものは信じないタチだ」
「店のドアが黒い!喪に服す色だ!」
「お前の発言が不吉なんだよ」



嫌だって言ってるのにぃぃ―――っ!!